トップへ戻る
  2007年 8月のTopic  医療の品格

 一昨年、藤原正彦氏が書いた「国家の品格」がベストセラーになりました。
 この本は、日本人がかつて持っていた正義感などの誇れる点を取り上げ、日本の行く末を案じて書かれました。
  (財)宮城県対がん協会会長 久道茂氏は、この「国家」の部分を「医療」に置きかえてみるととてもぴったりと当てはまるとのことで、昨年9月に「医学・医療の品格」という本を出版されました。
 各方面からの反響が大きかったとのことです。
 その中で、今回は「医療」の部分について氏のお話の一部を引用させていただきます。


 病院、診療所を含めて、その従業員全体がどういう対応をとっているかというのが実は医療全体の品格を構成しているのだろうと思います。
 医療ですから、ドクターだけではなく、看護士も同じです。それでは患者はどうなのでしょうか?
最近では「患者様」などと呼びますが、私はこれが大嫌いで、皮肉を込めて将来は「お」がつくよと言っています。
  「お患者様」となるよと。
  私の本には、次のような架空の物語が書いてあります。
 病院で患者に「様」をつけるのが適当かどうかを検討する「患者様の名称検討委員会」というのが開かれまして、ある人が、医者のことを「お医者様」と呼ぶのだから、患者にも「お」をつけたらどうだ、ということになったのです。
  では、患者は「お患者様」かなという話になりました。
 そしたら、看護士のグループが、それならば我々もということになりまして「お看護士様」。なんだか変な話になります。
 病院に行きますと、病院の理念や基本的憲章が書いてあります。
 そこには極めて患者様方に丁寧なことがいっぱい書かれていますが、私が管轄していた宮城県の精神医療センターの玄関には、「患者さんの責務」というのが書いてあります。
 もちろん、病院は秘密を守ります、最善の医療をやりますということも書いてあります。
 そして、最後のところに「患者さんの責務」というのが4つほどありまして、症状についてはドクターに正直に話すこととか、指示された治療法は守ってもらうこととかが書いてあるのですが、4番目に医療費を支払う義務と書いてあるのです。
 おそらくそこの院長が職員と相談してこれを入れたのだと思いますが、私はこれに大賛成です。
 他の県立病院ではそういうことが書いてありません。
 今、医療費を支払わなくてもいいという風潮が、世の中にあります。
 私は常々そのあたりもはっきりと書くべきだと思っていたのです。
(中略)
 これは日本のどの病院、特に自治体病院では同じ悩みを抱えていることと思います。
 やはり患者側もしっかりとした対応をしてもらわないと、医療というのは成り立たないのではないでしょうか?あえて品格とは言わないまでも、当たり前のことだと思います。

 医療機関側の問題はマスコミにも多く取り上げられ、もちろん解決すべき問題が多いと思いますが、医療を受ける側も真剣に考えないと、日本国民が自ら医療を破壊することになりかねません。
 医療に限らず他の業種でも同様の問題はあることと思いますが、久道氏の意見はとても大事な点を指摘されていると思い、紹介させていただきました。

 
おぐり眼科おぐり眼科トップへ